キクラゲ(複合体)

Auricularia auricula-judae complex
キクラゲ目 キクラゲ科 キクラゲ属


キクラゲ_定山渓_

 
Edible mushroom 食用

 春から秋にかけて各種広葉樹の枯れ木上に群生する有名な食用きのこである。
 きのこの形は円盤状、耳状、チャワンタケ状など変化に富む。背面の一部で枯木に付着する。

 内面(胞子を形成する,窪んだ面)は外面とほぼ同色または淡色,しばしば脈状に隆起した不規則なしわを有し,湿った時には光沢があり,成熟すると白い微粉を生じる。
 背面は直立した粗毛に覆われ、光沢無し、乾くと表面は暗褐色〜黒色で滑らか、背毛は厚保壁円筒形で長さは 130μm以上。
 肉は薄く,鮮時には水分が多くて弾力に富んだゼラチン質・半透明で淡褐色,乾くと堅い膠質となり,ほとんど黒色に変わるが,充分な水分を得ると再び生時の状態に戻り,ほとんど無味無臭。
 担子胞子は腎臓形〜ソーセージ形 11-16×4.0-7.5 μm

【註】従来 キクラゲ Auricularia auricula-judae(Bull.) Wettst. とされていた菌が単一の種ではなく、複数種からなる種複合体、すなわち A. auricula-judae complex であるらしい。
(1)A. auricula-judae s. str. はタイプ産地のあるヨーロッパにしか分布していない可能性があることと、
(2)アジア産 A. auricula-judae complex には、
 A. heimuer F. Wu、 B.K. Cui & Y.C. Dai、
 A. minutissima Y.C. Dai、 F.Wu & Malysheva、
 A. tibetica Y.C. Dai & F. Wu、
 などの複数の新種が含まれることが報告されている。
〔参考〕『日本産キクラゲ および、アラゲキクラゲの分子系統解析と形態比較に基づく分類学的検討』(日菌報 59: 7−20,2018)から


〔似たキノコ〕
 → ナンカイキクラゲ、キクラゲ の背面は灰黄色〜灰褐色で、直立した白い毛に密に覆われる。
 → アメリカキクラゲ (A. americana) は針葉樹の木に生え、顕微鏡下では髄質帯がない。

キクラゲ_20090716_学びの森