従来、ベニチャワンタケとされてきた種は日本に産しないようだとのことで、「日本のきのこ」などでは”ベニチャワンタケの一種”と表現されています。
発生時期は早春~春、林内の広葉樹の朽ち木上や落ち枝上に発生する。
茶碗形で径1~6cmほど、ときに8cmにおよぶ。碗の内側は、鮮紅色ないし深紅色である。
外側は白い綿毛が密生し、白色~淡紅色をおびる。
柄はほとんど無いか、あっても1cmほどと短く、中心生又はやや偏心性に付く。柄は強じんで、寄主材にしっかりと付着するのが特徴である。
肉は朱白色を帯び弾力性があり、やや強じんで無味無臭。
成熟したキノコを軽く叩くと4、5秒後に煙を自ら勢いよく噴き出し同時に胞子も椀の外へ放出します。射出時には「シュー」と音を出します。
胞子紋:白色
胞子は長楕円形~円柱形で圧壁、無色、表面平滑、大きさ 26-35 x 10-13.5µm
〔似たキノコ〕
→ 似たキノコに ベニチャワンタケモドキ があるが、秋に発生し本種より小型。
【注】 光学顕微鏡で胞子を観察すると、多数の小さな油滴を有するもの、両側に大きな2個の油滴を含有するもの、真ん中が油滴が無いように見えるものが混在している。
また、胞子表面に合焦すると全体に小さな油滴が全面に現れ、中心部に合焦すると2個の大きな油滴が見えたり、真ん中に油滴が無いように見えます。
胞子サイズや平均的な油滴の分布状態からは、旧学名の Sarcoscypha coccinea (Jacq.) Sacc. と区別がつかない。
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